どうも音又です。
今回は
『音楽理論勉強してみたいけど独学って出来るのかな…』
『何から手を付ければいいかわからない…』
みたいな人に向けて、音楽理論の独学についてとその学習手順などを書いてみたいと思います。
音楽理論は独学できる?
結論から言えば出来ます。
ただしやり方や手順を意識してやらないと恐らくですが挫折もしやすいのも事実です。
これは音楽理論だけに限らないかもしれないですが、こういう知識的な部分を学ぶ際にはまず自分の中での学ぶ対象に対する目的ははっきりさせておいたほうが良いかと思います。
音楽理論がわかると何ができるのか
先述したように音楽理論を学ぶのならば、それを学ぶことによって最終的に自分がどうなることを目的としているのかを意識しておきたいですね。
とはいえそもそもわからない人からしたら
「なんとなく出来たら便利そうだから勉強したいけど、音楽理論が出来たら実際に何がやれるのかははっきりわかんないよ」
って感じだと思うので、音楽理論を身につけることでどういったことができるのか、どういったメリットがあるのかを挙げてみますね。
耳コピがしやすくなる
音楽理論の内、スケールやコード進行などの概念がわかるようになると耳コピや楽曲の解析みたいなのがやりやすくなります。
例えば初心者が耳コピなどをする時にありがちな
「音を外す」
「コードが違うorわからない」
「音程が変な気がするけど具体的にどこが変なのかわからない」
みたいなことが減らせるようになります。
理由としては理論を学ぶことで、音で迷った際に
「このキーでこのコードの時にこの音はないだろう…っていうことはこれだな」
みたいな感じで音を耳で聞いて判断するだけでなく、理屈で考えてパズルを組み合わせるように判断することが出来るからです。
またこれらを応用すれば
「この曲はこのタイミングであえてあんまり使われないこの音をぶっこんで来てるのか…おもしれぇ」
みたいな楽曲スタイルの解析も出来てしまうと言うわけです。
これが出来るようになると『あのアーティストっぽいメロディ!』みたいなのも狙って作りやすくなったりするので楽しくなりますよ。
曲の展開手法の引き出しが増える
ちょっとわかりにくいですが、要は『曲の展開を作りやすくなる』って感じです。
例えば曲の展開を変える1つの手法としてリズムを変えるっていうのがありますね。
クラブ系の曲だとよくあるキックやスネアが8分、16分と段々細かくなっていくとなんとなく盛り上がってきたって印象になるアレです。
リズムを変える例:Hardfloor – Acperience 1
途中から16分のスネアが入ってきて「何かくるぞ…!」みたいな印象が生まれる
理論的な部分がわかってくるとそういった展開の変化をリズムだけでなく、音の進み方や響きから作ることができます。
音の進み方(響き)で展開させる例:河野マリナ – Morning Arch
Bメロからサビにかけて、引き込まれるような音の進み方でサビ前の盛り上げを演出しています。
このような展開の手法や演出方法の引き出しは多ければ多いほど、作曲もスムーズに出来るかと思います。
独特な雰囲気や個性を出しやすくなる
たまに「音楽理論を勉強するとありきたいな曲しか出来ない」みたいなことを言う人もいますが、
僕はこれは全く逆だと思っていて、たしかに理論ガチガチで作ればスタンダードで無難なスタイルにはなるかもしれません。
しかしそのスタンダードがわかるからこそあえてそこから外れた、独特の雰囲気やスタイルの曲を作れるようになるんじゃないかと思います。
基準としてスタンダードを知っているからこそ、そこから飛び出した答え(表現)が出しやすくなるわけです。
またこれは個性を出すだけでなく例えば
「落ち着いたカフェのような場面で流れている曲」
とか
「戦闘中の緊迫した場面で流れている曲」
とか
いわゆるBGMのように、予め狙った雰囲気やイメージの曲も作りやすくなります。
音楽理論を独学する上で”特に”学んでおきたいポイント
さて、ではメリットをある程度話したところで、そういったメリットを得るために音楽理論を独学する上で特に学んでおきたいポイントを紹介してみます。
楽譜の読み方
これは理論とはちょっと違いますが、音楽理論の勉強や情報収集をスムーズにしたい場合は、少し面倒ですが楽譜が書けずとも、読めるくらいにはなっておくことをオススメします。
最近は教本やウェブサイトでも楽譜を極力減らした教え方をしているモノ多いですが、それでも楽譜は見かける機会が多いです。
楽典
先ほどの楽譜の読み方なども含まれますが、楽典では理論以前の基礎やルールみたいなものを扱っている部分です。
音程、度数の概念や、音の響きが与える影響みたいなものを学ぶことが出来て、これらがある程度出来ていないと、あとのスケールやコード進行などの理解が難しくなります。
正直個人的には音楽理論の中でも結構つまらない部分なのですが、
ここがわかるかわからないかでそれ以上の理論を勉強する際にめちゃくちゃ影響が出てくるので、どうにか頑張ってやりたい部分ですね。
コード進行(理論)
ポップスなどを作るならば最も音楽理論ベース作曲の醍醐味が味わえるのがこの辺りになってくると思います。
ダイアトニックコードにはじまり、代理コードやコード伝いでの転調方法など、作曲やアレンジに深く関わる部分を学ぶことが出来るので、
これがわかるようになったらコード進行を組んだり、リハーモナイズ(メロディに対して進行をつける)みたいなのが凄く楽しくなります。
音楽理論と言うとかなり面倒で堅いみたいなイメージですが、ここまで来てしまうと楽しくなるので勢いで学習を進めていけると思います。
スケール
コード進行と加えてこのスケールを学ぶことによって、先ほどメリットの中で話した独特の雰囲気や個性のある曲・メロディを作れるようになります。
また、スケールもかなり情報量が多く、学べば学ぶほどわからない部分が出てくると思うのでもうなんか単純に勉強意欲もあがります。
この他にもいろいろあります
ここまで「まぁポップスとかをやるならこの辺は抑えておきたいかな」みたいな部分を挙げてみました。
ただもちろん音楽理論はこれだけではなくて、他にも沢山学べるものはあるので、とりあえずここまでやってみて、出来たのならもっと深い部分に足を突っ込んでみると良いかと思います。
例えばオーケストラルを書きたいならば対位法などはやっておきたいですし、ジャズをやるならジャズ理論(セオリー)も一度ふれておきたいですね。
音楽理論を独学する時の学習する順番は?
なんかバババッといろいろ挙げてみましたが、これだけじゃ選択肢を与えられただけでまた混乱状態になってしまうと思うので、
次に音楽理論を独学する場合にどれから勉強していけばいいのかも触れておきます。
あくまで参考程度などですが、先述した学んでおきたいポイントをやるならば
- 楽典(楽譜の読み方も含め)
- コード進行
- スケール
こんな感じの順番でやればいいかと思います。
具体的に言うと
1.楽典(楽譜の読み方も含め)
音楽理論を学ぶ上で必要な基礎と楽譜の読み方を身につける
↓
2.コード進行
音程などについてある程度知識が身についたはずなのでそれを基にコード自体の作りや種類とコード進行(音の進み方)について学ぶ
↓
3.スケール
コード進行などの知識も踏まえつつスケールを学び、ダイアトニックスケールという枠だけにとどまらない音の使い方を身につける
↓
勉強は続く
これらを学んだ後も恐らく次はアレ、その次はコレといった具合に気になるところが出てくるので引き続き知識やテクニックを身につけていく。
こんな感じですね。
こうやって書くと簡単に見えるかもしれませんが、基本的にこれらを学ぶのには相当の時間や努力を要するので決して簡単とは言えません。
独学ならばなおさらですね。
基礎の理解だけで1年や2年くらい、もしくはもっとかかると思っていても良いかもしれません。
ここまで書くと「えぇ…なんかめんどくさそうだなぁ…」ってなっちゃうかもしれませんが、
ただ先述したようにある程度の領域までいくと楽しさの勢いだけでいろいろ吸収できるようになるのでそこにたどり着けるまで頑張れたら良いかなって感じですね。
また、あたかも段階的に区切りよく学べるような感じで書いていますが、
実際にはコード進行やスケールなど、クロスオーバーする部分も多いので、わからない部分や忘れて部分があればその都度調べたりして補完するようなやり方がオススメです。
音楽理論は教本などを見るだけじゃ身につかない
あと学習する上での注意点ですが、
これらを学習するとなると、基本的にウェブサイトや書籍を利用することになるとは思いますが、ここで勘違いしてはいけないのが
読むだけ・聞くでは決して身につかない
ということ。
どんなに理屈や法則は理解していても、それらの知識を作曲などに取り入れていき実践していかなければ体感的に身につけることはできません。
逆に体感的に身に着けてしまえば、最初のうちは
「ここはこのコードだから、次はここをこうして、こうやって進むと良さそうだな…」
みたいな感じで意識しつつ取り入れていくのが、
最終的には
「なんとなく自分なりに気持ちの良い音の進み方をさせていたら自然と理論に基づいた手法を取っていた」
みたいな状態になってきます。
まれに感覚だけで身につく人もいる
ちなみに余談ですが音楽理論自体はそんなに勉強していないけど、ロジカルな曲を作れるような人もたまにいますね。
そういった人は音楽理論を勉強していないっていうよりは、とにかくたくさんの曲を聴いて、そこから直接理論に基づいた音の進み方や感性をインプットしているので、
音楽理論を頭で勉強する段階を省略して直接感覚で覚えていっている感じに近いです。
しかもこの場合当の本人はそこまで、そんなことをしようと意識をしているわけでもなかったりするのですごいですね。
このやり方は誰でも出来るわけでもないと思いますし、
もしちょっとでも「音楽理論を”勉強”しよう」って思ったのならば、残念ながら自然に身につけるのは難しいと、自分の中で本能的にそう感じ取ったからなんじゃないかと思います。
なので変に
「感覚で身につけるぞ!」
って意気込むよりは、面倒でも最初は頭で覚えていくのが良いんじゃないかと思います。そうすれば嫌でもいつのまにか体感的にも吸収しやすくなってきますからね。
音楽理論を独学する際にオススメの書籍
最近だとウェブサイトなどもあるとは思いますが、書籍からしか得られない濃密な情報というのもありますので、ガッツリ学びたい人はぜひ教本・書籍もつかってみてください。
楽典を学ぶのにオススメな書籍
楽典ー理論と実習
楽典といえばとりあえず出てくる「黄色い本」。
どちらかというとクラシックよりで文章も少し堅めなのでちょっと読むのが大変かもしれませんが、内容はかなり濃密です。
聴くだけ楽典入門~藤巻メソッド~
上の本よりはライトで、文字も大きいので読みやすい内容になっているかと思います。
『聴くだけ』のタイトルの通り、音声レッスンデータがついていて、そちらを聴きながら本を読むことで楽典を学んで行けるといったような内容になっています。
よくわかる楽典の教科書
こちらもライトな文で初心者にも読みやすい内容かと思います。堅い文が苦手な方やとりあえず一番最初に触れるならこの辺りがオススメだと思います。
最初は理解できなくてもよいので、まずは雰囲気からでも感じていくといいですよ。
コード進行・スケールを学ぶのにオススメな書籍
ポピュラー音楽理論
コードやスケールに特化しているというより普通に音楽理論書ですが、コードやスケール周りについて多く解説されているので、
これ一冊で基本的な部分は一通り触れることが出来るかと思います。
コード理論大全
コード周りの理論を網羅的に解説している本になります。
『コード理論』とありますが、よく絡みのある教会旋法(チャーチモード)やその他コードスケールに関しても触れているのでその辺りも学べます。
コード進行スタイル・ブック
コード進行中心の内容になっていて、既存の有名な楽曲での使用例なども踏まえつつコード進行について解説されています。
これだけ読んでもなかなか理解できないと思うので、他の理論書などと組み合わせつつ読んでみると理解しやすいかと思います。
コード作曲法~藤巻メソッド~
楽典の方で紹介した『聴くだけ~』と同じ著者の本になります。
各コードの特性などについて触れつつ、アナリーゼ(楽曲分析)やリハーモナイズなどを通してコード進行を用いた作曲手法などを学べます。
『作曲法』とありますが、コード進行そのものについても学ぶことができます。
その他
作編曲やDTM全般について学びたい時にオススメの書籍に関してはこちらの記事でも紹介しているので是非参考にしてみてください!
※ここで紹介したものもいくつかはいっています!
おわり
というわけでここまでいろいろ書いてきました。
音楽理論どころか作曲すら独学で始めるのは難しいですが、出来ること・表現方法が増えれば増えるほど面白さも増すので、ぜひ積極的にいろいろ吸収してみてほしいですね!
では今回はこの辺で。さいなら
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